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2012年3月2日金曜日

エルピーダの坂本社長の話を聞いて思うこと

昨年まで5年とちょっと半導体業界で仕事をしていた。
会社自体はセットメーカだけど、製品のコントローラを内製化する部隊で半導体ベンダとべったりで仕事をするのを専門にしていた。
今はどこも崩壊状態だけど、国内のASICベンダは一通りおつきあいさせていただき、海外ベンダも数社、それなりに各社の実力も把握しているつもりだ。

エルピーダの会社更生申請で、メディアは日の丸半導体没落、なんて騒いでる。
でも、今や、半導体製造を名乗っておきながら、海外見渡しても自社ファブを持っている会社なんてあんまりないのが現実だ。
「20nm以降のプロセスを製造する予定の」と限定してしまうと数社と言って良い。
つまり、「日の丸」ではなくて「半導体産業」の「没落」と言うより「業態変化」なんだと思う。

今や一社単独で半導体微細化プロセスを切り開いていくのは無理だし、現に統合されてほぼ2陣営で収まりつつある。
そんな中、折角提携の話を進めていたのに邪魔されたら、愚痴の一つも言いたくなるよね。
そして、それが言える数少ないチャンスの会見の場。
「マスコミは、我々が提携の話をしているときにも、まだNDAの契約をしていない段階にも関わらず、すぐに記事を書く。それがどれだけ我々の提携関係を阻害していたのか。世界の会社では、そんな記事が出たら提携の話はなくなる。きちんとしたデータや、きちんとしたことがわからないうちに記事を書くということは、日本のメディアのレベルが落ちているということだ」
なんて、苦言を呈したそうな。

そして、も一つ共感する技術力に触れた発言。
「20nmプロセスでまともに生産できるのはエルピーダともう1社しかない。30nmを超えたところから技術は大きく変わってきている。今回の更正法の申請が明らかになった後にも、世界中のお客様から、更正法の中でもエルピーダがんばれと言われている。その技術がないと我々は製品が作れないともいわれている。今まで以上に社員はがんばってくれるはずであり、韓国の会社以上の開発力を持っていると考えている」

90nm, 65nm, 40nm, 28nmプロセスでASICをおこした自分の経験では、30nmを超えたところってのはまさに正しく、28nmから一気に難易度というか注意しないといけないことが増えて、それに伴い設計手法も変わる。
書いてある通り、かつての日本の半導体ベンダが集結したわけだから韓国の会社やアメリカの会社以上のポテンシャルは持っていると思う。
いろいろ見た感じ、ここでもう1社と言っているSamsungの技術もたいしたことなかったし、DRAM4強の残り2社は推して知るべしというところだ。

ただね、DRAMで再起ってのはどうかなと思う。
「PCだけのDRAMではなく、これが携帯電話用のDRAMに変わっていく」と言ってたらしいけど、DRAMを取り巻く環境が厳しくなってる昨今、時代の終焉なんじゃないかなと個人的には思う。
SSDなんかでこれから更にパイが広がろうとしているNANDフラッシュに対して、微細化のスピードでも負けてきているDRAM。
実際のところ、ポストNANDを視野に入れた次世代不揮発性メモリの開発レースも熾烈になりつつある時代に開発着手に乗り遅れてDRAMオンリーになってしまったからそうせざるを得ないだけだ。

この社長さんがどういうランディングポイントを目指してるかはわからんけど、DRAMベンダの中では営業的な対応なども含めて個人的には一番支持するベンダだったので、傷口を広げないでうまいことやってもらいたいな、と思ってるわけである。

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