大林監督の最新作、「この空の花」を観てきた。
この映画、二種類の見方があると思う。
160分とそこそこ長い時間の部類に入ると思うんだけど、そこに更に多すぎなカットを盛り込んだ情報量。
通常の見方は、この情報の中から自分の琴線に触れたストーリーのみを抽出してその物語展開を楽しむというもの。
もう一つは、いろんな伏線を回収しながら、この物語に織り交ぜられたいくつかのストーリーを並行して吸収し、それを渾然一体とさせて語り、映画に昇華させた大林監督の意図を読み解くという見方。
正直これは何度か観ないと無理ですな。
監督自身8回くらい観てくださいと言ってる。
そんな無茶な。
そこまで観るに堪える映像、演技かと言われると首をかしげたくなるしね、正直。
大林監督だけにわざとやってるんだろうけど、登場人物が早口でしゃべるから聞き取りづらい。
時間軸、虚実、劇の舞台と紙芝居に本編ストーリー、死者と生者、などなどいろいろ渾然一体としてしまっている。
結局最後まで、「雨が痛い」という台詞とか、筧利夫がちょろちょろ邪魔とか、コミカルな職員室とか、三味線弾く教師とか、いろいろ「???」が解決しないんだけど、長岡の花火の圧倒的な迫力で大円団となっていく。
作品というより与えられた情報に対して思ったのが、田んぼに通うようになって身近になった新潟だけど、全然知らないことが多いんだなってこと。
日本史を学ぶ上で、河井継之助、山本五十六、堀口大学あたりのことは知っていたけど、戊辰戦争や長岡の空襲、原爆投下計画や疑似原爆投下の話なんかは知らなかった。
そして、それぞれの戦争後に行われたこの鎮魂の花火の背景。
真珠湾、石巻であげられた花火、人災に続き度重なる天災と何度も苦しみを味わいながら
も立ち上がる越後人の強さ。。。
正直、稚拙に映った松雪泰子と高島政宏の話とか、舞台の話とか織り交ぜずに真実に基づく物語として骨太な作品にした方が良かったんじゃないの?と思うんだけど、それなら撮る人はこの監督じゃないわな。
で、作品に関して僕の感じたことについて、以下ネタバレです。
足が地に着かない不安定な一輪車に乗っているのは「亡霊」たちという表現なんだろう。
劇中劇と言われれば、それまでなんだけど、それでも正直、違和感。
主題とも言える「花火」
これは明確に語られるが"戦争と平和"のメタファー。
中に籠められた火薬は、夜空に咲く花にもなるし、爆弾にもなる。
また、善悪が混在する私たちの社会の縮図でもあり、人間の二面性を表してるともいえる。
そんな中語られる、『「ピース」はVictoryのV、結局平和は勝者側の言葉』ってのが妙に自分の中では残った。
何気なく皆がするあの撮影時のポーズはアメリカ人に洗脳された日本人の象徴みたいに感じた。
今、日本に限らず、新自由主義の名の元に第二次大戦前の帝国主義的な様相を世界は呈していると感じる。
そんな中、反戦を声高に訴えるこの映画、タイムリーだと思う。
モデルとなった伝説の花火師、嘉瀬さんのシベリア、真珠湾等々で花火を打ち上げるという思いと行動力、感涙だ。
長岡花火が観光誘致目的ではないことは良くわかった。
来年はそんな視点で長岡の花火を観に行けたら良いな、と思った。
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